最近、本読む気が起きなくて、読みたいはずの本はたくさんあるのに、なんか気が向かず、そんな時にカバンに入れておくのは中原昌也の小説しかないように感じたのだった。
で、これまで出たのを片っ端から読み直していて、ホント止まらない。もう小説は書かないのだろうか。もっと読みたい。 先日、なかよしグループのボーカル・後藤徹也さんの個展に行った。ギャラリーのサイトをみて、地図を一見し、まあ分かるだろうと思って下北沢駅に降り立ったが、なんとなくで歩いていても着くはずがなく…。しばらくウロウロして、これは仕方ないケータイ電話で調べてみようと思った。が、さらにどうしようもないことに、「後藤」という名字はきちんと記憶しているものの、下の名前が曖昧なため、「下北沢 後藤」とか検索するしかなくて、全然目的の情報にたどりつかない。もちろん展覧会名もギャラリー名も忘れてしまっている。ちなみに使っているケータイは「らくらくホン」で、画面に表示できる画像などの上限容量も極小で、およそネット検索向きではないのであった。 これは…、今日はあきらめようかな。と思いつつ、せっかくここまで来て悔しかったので、カバンの中に入っていた中原昌也の長編小説「あらゆる場所に花束が…」を開き、小説の一番始めに登場し、いきなり意味も分からぬままこっぴどく蹴られる「徹也」という人物の名前を当てはめ「下北沢 後藤徹也」と検索し直したところ、目的の展覧会の情報が現れた。奇跡。いや、多分、どこかで文字を見かけていて、なんとなく下の名前が「てつや」だった気はしていたのかもしれないのだが…。というか、あきらめる前に、なかよしグループの他のメンバーにメールや電話でたずねる手もあったのだが…。 とにかくそうしてギャラリー「commune」にたどり着いた。完全にシラフで、一人だったので気恥ずかしくてあまりゆっくりできなかったけど、展示してある絵はどれもめっちゃかっこよかった!Tシャツあったらすぐにでも着て帰りたいほど。後藤さんの絵を収録した小冊子もあったそうだが、こちらはSOLDOUTで悔しい。が、今後増刷予定とのこと。楽しみ。 展示のチラシwith「あらゆる場所に花束が…」 中原昌也の「ニートピア2010」という短編集の中の「誰が見ても人でなし」という作品の中に、誰が見ても異常な部分があって、「妄想上に現れたメモ帳に判読の難しい字が書いてあり、それを無理に読もうとすればこう読める」、というような前置きのあと、延々妙なフレーズが続く。それがネットにちょっとだけ上がっているのを発見した。コチラから引用。 「ヘアスタイルは人目につくタイプのものが好まれる/怒声とともに破損された街灯の放置/緊急事態につき自宅の表札を外すよう警告/必死に旗を振る無駄/人生成功の機会永遠に与えられず/飼い猫を白い壁に叩きつける業務/便所の大々的偽装工事/誰の関心も引かぬ手書きの死亡記事/高速道路の中央分離帯に長時間潜む女/陰気な公共建設物の無人落成式/歴史上の偉人らが陽気に復活して通行人から軽蔑の眼差し/繁華街での強制脱糞/死体を使った嫌がらせパレード/自殺者急増地帯拡大の見通し/流行室内装飾が身体に悪影響/性器にカラフルな電飾取り付け手術代行/近隣雑木林が主なペットの墓場/深夜に恐慌状態の盲学校/顔面を傷つけるタオルの絵柄に採用/公園での性犯罪オリンピック開催」 というような。この部分が面白くて仕方なく、何度も読み返してしまう…。この言葉の扱われ方とのつながりを感じて最近また見返しまくっているのが秘密博士のDVDシリーズ。80年代初頭~中期頃までのCMやテレビ番組を並べたり、継ぎ接ぎしたりしたもので、何かこれといった面白い場面が収録されているわけではなくて、延々と余剰部分だけが続くような感じ。80年代だからなのか、CMってそもそもそういうものなのか、とにかく軽薄な映像と言葉の嵐に、ずぶずぶ床に沈み込むような感覚を得ることができる。 例えば、カーワックスか何かのCMで流れるナレーション「この輝きは、もはやメッセージだ」には、中原昌也の小説の言葉のような匂いがある。言葉の亡霊。 それにしてもこの秘密博士のDVDシリーズ(全部でどれだけあるのか分からないのだが7枚所有)、本当に素晴らしくて、何度繰り返しても見飽きないし、家に人が来たときなどは延々これをテレビから流すだけで満点接客となる。 以前、うちに二人の友人が泊まりに来た際は、彼らが寝てる間も嫌がらせ的にリピートしていたものだ。ひどくうなされていたようだ。 さらに、最近友達に教わったサイト「はぐれ刑事純情派」は、はぐれ刑事純情派の各回タイトルをシリーズ別に並べているのだが、これがひっどい。 「お子様ランチ殺人事件!?高齢出産の女」「おふくろさん殺人事件!?モノマネが暴いた真犯人」「夫婦で偽証!?行列のできるギョーザ屋!」などなど。何なんだろうか…これは。 こういう軽薄な言葉、魂を抜き去られたような言葉に興味が尽きない。
by chi-midoro
| 2009-10-01 08:29
| 脱力
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