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ANONYMOUS POP

小田島等センパイの作品集が出て、渋谷タワレコだと先着で手描きポストカードの特典がつくとのことだったので、急いで行って買ってきた。
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で、めくってると脳が洗われる気がした。通してみていくと、どこかワケの分からない場所へ連れ去られる感覚がある。一つ一つが勇敢なコンセプトと張り詰めた感覚で成り立っていて、要するに一回一回がその都度新たな勝負、という感じで、きっとここに載ってるアートワークが全部好きっていう人はいないんじゃないかと思う。自分としてもこれは一体何を表現しているのだろう…とワケが分からない作品がいくつもある。もちろん猛烈にいいなと思うものがたくさんあるけども。そしてその、「好きなのたくさんあるけど、いくつかは全然分からない」ってのがとてもかっこいい。

小田島さんと初めて会ったのは、経堂のギャラリーで2000年代初頭のことだったと思う。イラスト作品をいくつか展示した個展をたずねたら、本人がいて、しかもいきなり話しかけてくれて、ドギマギしながらもそこで、モーニング娘。の「ラブマシーン」の素晴らしさや、竹久夢二や中原淳一について話した気がする。
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で、それから程なくして、サッカーボーイ君の尽力により、今までに一回だけ高円寺の円盤でライブをしたことがあって、その時の共演者が(っつうか主催?)が小田島さんと細野しんいちさんのユニットである「BEST MUSIC」で、それはそれは思い出深いいいライブを見せてくれたので感動した。アメリカ国旗がプリントされた紙を観客全員に配って、アメリカのポップスをたくさんかけてたような記憶。そこで出会った現「なかよしグループ」のメンバーとは、今も仲良くさせていただいており、あれが縁で色々楽しいことがあった。
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小田島さんは、そのイベント終了後も僕らを中華料理屋での打ち上げに呼んでくれたり、また後日唐突に飲み会に誘ってくれたりして、その度に毎回とても緊張してほとんどしゃべれなかったなーという歯がゆい思いばかりが残った。けど、その神がかった創作の秘密に少しでも触れた気がして幸せだった。
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個展やトークイベントがあると大抵足を運んだ。自分の視野をグイっと押し広げてくれるような発見がいつもあったからだ。スーパーマーケットでかかってるようなサウンドを完璧に模倣したアートミュージック「BEST MUSIC/MUSIC FOR SUPERMARKET」とかホントいかしてる。仕事中に聴くと力が抜ける。

そんで今日も神保町の「路地と人」というギャラリーで行われた「新生代第三紀のアノニマス・ポップ」展を見に行った。
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写真作品が主で、あまりに取るに足らないものや、じっくり見ても一体何なんだか分からないものが写されていた。しばらく近所をウロウロして時間を潰したりしたのち、小田島さんにも会ったのだが、そしていつも通り緊張したのだが、一つ一つの作品への解説を耳にしたり、マンガ家の河井克夫さんがギャラリーに来て、物置にあったキャンバスに絵を描くのを目の前で眺めたり、小田島さんと一緒にギャラリーから美学校の建物まで歩いて荷物運ぶの手伝ったりして(「ウォーホールの作品やモナリザが絶大なポピュラリティを獲得して、当たり前のものになったために逆にアノニマスになっていくということなど話した」)、自分にとってはまたとない貴重な時間を過ごしたのだった。

ギャラリーの方が話しているのを聞いてびっくりしたのが、作品の展示位置を決めるのに相当な時間を費やしているという話だった。一見無造作に置かれたような作品が数時間かけて、その場所に置かれたという、このなんというか崇高な無駄さ…。物凄い熱量をあくまでゆるい表現に結実させるというその方法に、打たれた、のであった。っつうかそれが「アノニマスポップ」の特性なのかもしれない。緊張と熱量によって生み出された作品が、道端の看板のイナたい絵と同等になるということが…。
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by chi-midoro | 2010-05-23 01:19 | 脱力
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