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ブラックニッカ日々 2017-02-14

久々に一日中、家にいられる。
寝たり起きたりを繰り返す。
横になって小津安二郎の「秋日和」を見る。

里見弴原作というのもあるのかもしれないが、他にみた映画より登場人物も多いし、
その交差のさせ方も複雑になっている気がした。出てくる場所や建物のバリエーションも多い。
原節子は未亡人で、その娘の司葉子を、原節子の死んだ夫の同僚であるおじさん三人が寄ってたかって結婚させようとする。
でも娘の司葉子は母を一人にして結婚するのは嫌だと思っていて、縁談に乗り気じゃない。
そこで、おじさん三人は、まず未亡人の原節子を先に再婚させ、その後に娘を嫁にやろうと企てる。

っていう、こう書いただけでおじさん三人の余計なお世話ぶりが明らかに過剰で、
映画を見ながら「ほっといてくれ!」とつぶやいてしまったほどだった。
しかもそのおじさんたちの、当事者の気持ちなどまったく顧みない余計な行動が、
母娘に勘違いを生み(えっ!お母さん再婚する気でいたの?汚らわしいわ!みたいに娘は勘違いする)、
必要のない溝まで作り……という例のごとく意地悪な映画。

特に佐分利信が勝手に娘に縁談を持ってきておいて、それを断った娘に対して、
「ほら、これが君が振った男だよ」と、佐田啓二を紹介する場面のいやったらしさ。
こんなジジイ最低だ。
娘の友達の岡田茉莉子だけが気持ちいい空気を送り込んでくれるような気がする。
やはり時代の限界というか、男尊女卑でマッチョな価値観が前提とされていて、
女性の悲哀を通してそのあほらしさを描こうとした映画なのかもしれないけど、見ていて息苦しいのだった。

途中ウトウトしながら見ていて、夢にも小津映画にいつも出てくる役者たちが出てきて、
どこまで映画の話で、どこまで夢だったのか混乱した。

袋めんを茹で、ピーマンを刻んだのを入れて昼食とする。

ラズウェル細木さんとこの前飲みに行った時のインタビュー起こしの作業や、
メール返したり、請求書プリントアウトしたりなど。

図書館に予約していた本が届いたと知らせがあり、取りに行く。
全4巻ある「南方熊楠日記」のうち3冊が届いていたのだが、
一冊500ページずつある分厚い本で、2週間で読み切れる気がしない。
受付の人も「これ、借りるので、いいんですか?」みたいに言っていた。

夕飯は白菜とか豆腐とかもやし。

食べてまた眠くなって、今日は寝てばかりだ。

少し前に見た原発事故後の福島に数年経ってから自殺者が増加してるっていうドキュメントの中で、
「あいまいな喪失」っていう心理学用語が出てきた。
恋人や家族が行方不明になった場合とか、原発事故で自分の住む場所から避難している状況が何年も続いていつ戻れるか分からない、みたいな、決定的な別れじゃなくて、宙づりになったような喪失のことをそう言うらしく、普通の喪失よりも、乗り越えることが難しいのだという。

いつかまた元に戻れるかもしれないと思い残したような恋人との別れとか、一緒にいるけど一向に分かりあえない相手とか、そういうのも「あいまいな喪失」に似ているような気がした。

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by chi-midoro | 2017-02-15 01:20 | 脱力
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