朝から家で仕事。
昼はもちろんカップ麺。 マレーシアで「ジェデク」という先住民の言語が発見されたというニュース。 ”ジェデク語には「職業」や「裁判所」に当たる言葉がなく、「借りる」「盗む」「買う」「売る」などの所有を表す動詞もない一方で、「交換」や「共有」を表す語彙は豊富だという” というのが面白い。 昔の日本には青い色を表す言葉が何十もあって繊細な違いを表現できた、みたいなそんなことは聞くけど、交換や共有に関する語彙が豊富ってどんな感じなんだろう。想像できない。研究結果が本にまとまって日本語に翻訳されるのはまだまだ先かもしれないけど読んでみたい。 昼過ぎに家を出て天王寺へ。 あべのハルカス美術館で明日から始まる東郷青児展の内覧会があり、そこに参加させてもらう。 美術館のスタッフの方に解説してもらいつつ会場をまわる。 19歳の頃の東郷青児の写真が貼ってあるんだが、松阪桃李みたいな顔しててオシャレな服着ててかっこいい。 東郷青児はとにかく人に恵まれていたそうで、18歳か19歳かでキュビズムっぽい絵を描き出した途端注目され、 山田耕作に全面的にバックアップされてスタジオの一部をアトリエとして貸してもらったりしたらしい。 二科展に出してみたら?と言われて出展すると即、最優秀賞。 制作に関しては経済的にも苦労もあまりなく、そのまま生涯を通じて順調に絵を描き続けられたらしい。 とにかくイケメンかつ、魅力的な人でもあったのだろう、モテまくり、 竹久夢二が「港屋」で自分の絵はがきとかを売っていて、その店番を嫁の「たまき」さんに任せていたのだが、 そこに東郷青児が出入りするうちにすっかり気に入られて男女の仲になり、 その現場に竹久夢二が踏み込んでバット持って追いかけたとか、 東郷青児の最初の奥さんとの間に子どもができ、その翌年にパリに一人旅立ち、 数年間芸術を学ぶのだが、嫁と子はパリに追いかけてくるけど、結局経済的な理由で日本に帰され、 一人になった東郷青児はパリジェンヌたちとよろしくやっていた、とか。 ちなみにパリ時代、自分の「サルタンバンク」という絵が会心の出来で、ピカソを連れてきて見せたら 「私の絵を見ているようだ」って言われたとか、エピソードがいちいち豪華。 その後、東郷青児は日本に戻ってきて、嫁と子はいるんだけど、好きな人が出来てその人と結婚。 だが、重婚になってしまうので、戸籍上は夫婦になれず、結局二人は離れ離れに、 そこに現れた別の女性と心中未遂。 そんな浮世を流す東郷青児に宇野千代がインタビューをしに来るのだが、 その当日から同棲を始める。そんで5年ぐらいして、重婚になるから一緒になれなかった前の女性と偶然出会ってまた恋に落ち、っていう感じでとにかくバタバタしている。 で、作品はキュビズム時代から徐々に女性像ばかりを繰り返し描くようになり、だんだんと東郷青児と聞いてイメージするあの感じの完成形に近づいていく。 その変遷を追いかける展示だったが、自分はいつも東郷青児の絵を見て思い出すのだが、なんとなく好きだけど、一個一個みていくとそんなに好きじゃない作品も多いし、もしいくらかで原画を買えるとしたら欲しいかっていうとそんなに欲しくない。ポストカードやポスターがちょうどいいぐらいの、そんな好きさなのだが、それでも東郷青児が60代ぐらいになって、もう完全にスタイルが出来上がった時期の、職人技過ぎてCGみたいになった絵は好きである。グラデーションがたまらない。”グラデーションの鬼”という言葉が浮かぶ。 展示されていた中でも「脱衣」とか「バレリーナ」っていう、何もない空間に女性がいるだけ、みたいな絵のデフォルメっぷり、グラデっぷりが最高で、じっと見ていると抱きつきたくなるのだった。あとで家に帰って図録で見てみたら抱きつきたい気持ちにはならなかったので、原画の力か、サイズのでかさが影響しているのかもしれない。あの気持ちになれただけでも行ってよかった。 興福寺の仏頭も、見ていると無性に抱きつきたくなる。 ポストカード何枚か買って帰る。 夕飯は納豆ごはんと味噌汁。 展示でもらってきたチラシ類の束の中に産経新聞が入っていて、読んでみたら、高校の学習指導要領というものに「自国を愛する」という学習内容が盛り込まれることになったみたいなことが書いてあり、それに触れつつ、従軍慰安婦や南京大虐殺に言及するような自虐的な歴史観を持つのはやめてもっと自国の歴史を誇ろう!みたいなことが普通に書かれていて、産経新聞って本当にこんななんだなと思って驚いた。 愛するように教えられるなんて最高に気持ち悪い。すべてをありのままに教えた上で、それを愛するかどうかは一人一人の判断でいいんじゃないんだろうか。怖い。
by chi-midoro
| 2018-02-18 18:12
| 脱力
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