この前、連絡の行き違いで取材ができなかった日本橋のお店に再度行く。
今日は問題なく終わる。食事をしてそれを写真に撮るという内容で、朝からお腹いっぱい。しかし今日は食欲もあり体調は問題なし。 新今宮まで歩いて帰る。雨が降ってきて濡れながらいく。地下鉄で帰るより60円安い。 石川達三「生きている兵隊」を読む。日中戦争の時に南京を攻略すべく攻め入っていく日本兵たちの心理的な状況と、その過程で中国の人々に対して冷徹に略奪や殺戮を繰り返していく様を淡々と書いている。残虐な描写が続く。南京陥落の直前の戦況は特にハードで、日本軍の兵隊たちも次々に仲間を失っていつ死んでもおかしくない、というか生き残ることの方が考えられないような状態に追い込まれて、死体を枕にして寝るみたいな、もう人の心は失ったような風になる(とはいえ、軍友に対しての愛は熱烈で、味方がやられたらみんな悲しみに打ちひしがれて復讐を誓う)。もうどんどんタガが外れて、日本にいる時は僧侶をしていた兵士も、中国人相手に無意味で過剰な暴力を繰り返す。 1937年に南京が陥落すると文壇から何人も現地に派遣されて、士気を高めるための提灯記事みたいなのを書いたらしいのだが、石川達三は日本軍の行き過ぎた行為に反省を促すためにありのままを書いたんだという。ありのままと言っても石川達三が現地に取材に行ったのはすでに陥落後で、暴力行為を目の当たりにしたわけではなく、兵隊たちに聞いてまわった話をもとに書いたとのこと。小説は大部分を伏字にした上で発表されたが、それでも即日発禁になって、石川達三はその後に四か月の禁固刑を受ける。つうか時期と書く内容が違っていたら命の危険もあったのではないかという気がする。とにかく、あくまで事後の取材で書いた、しかも創作なので虐殺の決定的な証拠にはならないというのだが、こういうことがあったと兵士たちが話しているんだから、こういうことはもっとあったんだろう。完全版が出版されたのは戦後になってからのことだった。 結局銃弾が飛んできて自分の肌をかすめたり、仲間がやられたりしたら大義はぶっとんで「ぶっ殺してやる!」で心はいっぱいなってどこまでバカみたいになってしまう。それは絶対そうだろう。戦争嫌だ…。読んでて重苦しいけど読まなきゃいけない小説だった。今まで本棚に入りっぱなしだったけど読めてよかった。どうしても残虐性に当然目がいくけど。人の心はこうなってしまうっていうのを、もういいよってぐらいじっくり書いてて小説としてもすごかった。 家に戻りしばらく昼寝してシカクへ行く。シカクで作った本がレビューサイトなどに取り上げられて売れ行き好調だそう。ようやく審査が通って通販のクレジットカード払いもできるようになったとのことで、今日も発送作業が忙しい。あの中津の薄暗い商店街の一隅で本が作られて、こうして色々な人に読まれ、できるだけ安い値段にしてあるのもあってそれで別にシカクの二人が儲かるわけでなく、「いやーいつか金持ちになりたいっすわ」とか言いながらやってるのは、なんかやはり、それだけはとりあえず素晴らしいことだ。お店がいつまでもできるぐらいの適度なお金持にはなって欲しいけど。 閉店後、今度あるえんちゃんの個展のグッズ作りの話などをビール飲みながらする。LINEでえんちゃんにも参加してもらえてプチ飲み会感があった。 書き仕事は明日にまわすことにする。
by chi-midoro
| 2016-06-14 01:10
| 脱力
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