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ブラックニッカ日々 2018-01-31

9時頃起きてすぐ仕事。
12時には家を出なきゃならずギリギリまで焦って頑張る。
なんとか入稿できた。

家を出て京橋へ。
今日は京都でチェルフィッチュの「三月の5日間」を見る予定で、
みゆきさんも誘ったら来てくれることになり、
せっかく京都に行くし、書店をめぐったりしようということに。
それで京橋で合流し、京阪で三条へ。

三条駅から市役所方面へ歩き、「鳳泉」という中華料理屋へ。
この前、京都に来た時に買った姜尚美「京都の中華」を読んで以来、
「京風中華」というものが食べてみたくて仕方なかった。
芸妓(←「げいぎ」と読むのか。ずっと「げいこ」だと思ってた)さんたちが
接客する前にも気にせず食べれるようにニンニクを使わず、調味料も必要最低限に、
もたれないように油もそれほど使わないっていう風に発展していったそうで、
この「鳳泉」は、くるりが「三日月」っていう曲のPVで食べてるやたら美味しそうな「鳳舞」という店の流れを汲む店で、
源流の「鳳舞」の方はもう何年か前に閉店してしまっていて、今それに近いものを食べようと思うとこの「鳳泉」か、
他に「鳳」の字のつく店がいくつかある、みたいな感じで、まあとにかく美味しそうで、来てみたかったのだ。

それで店につくと、別に混んでもいなくてすーっと入れて、
中はスコーンと広くて、居心地がいい。新しくて綺麗な店なのだが、
新しい感じが抑えられているというか。控えめなオシャレみたいな。
そこで、「エビカシワソバ」「カラシミソ」「シュウマイ」と瓶ビールを注文して食べる。
「エビカシワソバ」はあんかけ焼きそばみたいなやつで、麺にカラシが練り込まれている。
(京都にはこの「からしそば」というものを出す中華料理屋がいくつかあるようだ。食べ比べてみたい)
食べてみると、なるほどツーンとからしの香りがする、けど辛いってほどではない、でもたまにむせる。
それがめちゃくちゃ旨い。
鶏の唐揚げに唐辛子系の辛いタレがかかった「カラシミソ」もめちゃくちゃ旨いし、
くわいが入ってシャキシャキする「シュウマイ」も最高。
すべてが今まで食べた中華と違い、面白い。
これはメテオさんに食べて欲しい。「うわー!やばい!これは精つきます!油は使ってない。なのに精がつく。素材の精を殺してないからそれだけで十分なのでしょう」みたいな感じのことを言ってくれそうである。

食べ終わったあと、全然食べ疲れないのもすごい。
スイスイ歩ける。「鳳泉」の他のメニューも食べてみたいし、「鳳泉」以外の店も行ってみたいし困った。

そしてそのまま散策ついでに「三月書房」というやけに品揃えがかっこいい古い本屋さんに寄る。
ここでは「長新太」の特集ムックみたいなのが半額になっていたのを買う。
次に「誠光社」へ。ここでは、古いマッチ箱1個50円のを4つ買う。

鴨川沿いを歩き、河原町方面へ。
最近ここしか来てない「松川酒店」へ。

自分はいつも缶チューハイを飲むだけだったが、
常連さんがパックの刺身を食べたり、そっちにも席があるなんて今まで知らなかった奥のカウンターみたいなところでおでんを作っているのを発見し、食べることにした。
このおでんがまた……ダシが本当に薄味で旨みのみ。これも京都っぽ過ぎる美味しさ。
しかし、ひれ伏す。今まで濃い味ばっか喜んでバカみたいでした!すみません!と言いたい。
でも明日はまた濃いものを食うだろう。
とはいえ本当に美味しい。大根最高過ぎた。
前にラズ先生とここで飲んだ時にご一緒した神主さんが飲んでいて、挨拶する。
これから糟野さんと飲むので、その前に一杯飲みに来たんだとか。

18時過ぎまで飲んでそろそろと、「ロームシアター京都」へ向かう。
河原町あたりからは結構遠くて、動物園の方、平安神宮の方にある。
また鴨川を越えていく。

ホールにつくとちょうど会場時間の19時。
思ったより全然デカくてしっかりした会場で、でも座席は少なく、ちょうどいい規模。
100人ぐらいの。
半に開演。酒も飲んだり眠くなったらやばいな、と思ったけど、一切眠くならなかったのは
演劇の緊張感によるものなのか。もちろんずっと面白かったのもある。
「三月の5日間」は小説版も読んだし、戯曲も読んだことがある気がする。
この劇の戦争の描かれ方はなんなんだろう。戦争が始まったみたいだけどずっとラブホテルにいるカップル。
エンケンの「カレーライス」みたいな、井上陽水の「傘がない」みたいな、
世の中では色々起きてるみたいだけど、今僕の目の前には僕なりの問題があるんだという態度なのか、
でもそれとも違う。
渋谷の反戦デモのことが何回も出てくる。
アメリカ大使館の近くに住んでる主婦が「静かにしてくれ」みたいに言う場面が出てくる。
でもだからといって、この劇が冷笑的な態度をとりたいというようなことではないだろう。
というかそういう「どっち派」みたいな次元じゃなく、そういう状況全部を描こうとしているんだろう。
(とはいえこの劇をサッと見たら、”デモって滑稽”みたいな印象をもつ人がいるかもしれない。だとしたらそれは悲しいが)

何年か前にみたチェルフィッチュの「ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶」の時の印象同様、
まず、登場人物のカップルのセリフを語る人がどんどん入れ替わる。
女性が男性のセリフを言うこともある、男性が男性のセリフを語ることもある。
だし、同じ人物のセリフを場面によって違う役者がしゃべる。
そしてしゃべりながら、絶えず、そのセリフと関係あるような無いような、不思議な動きをし続けている。
町でやってたら「挙動不審」と思われるような不気味過ぎて笑ってしまうような動き。
だけどその動きがセリフの内容や役者の感情と無関係ではない。でもたまに無関係っぽい。というような。
でも笑える場所も多くて、観客もみんな笑っていたので「あ、面白いと思ったら笑っていいんだ」と思って安心した。
枠組みだけ見ると難解な劇のように感じるが実際みるとそんなことはなく、未来の漫才みたいな、
こういう風にお笑いが進化していったら面白いというような感じだ。

六本木のライブハウスで出会っていきなりラブホテルに行って5日間過ごすっていう、
軽率なカップルのしゃべりなのに、色んな役者がそのセリフをしゃべり、
時制も語る度に微妙に違ったりして、
「今この人は、誰かに聞いた話をまた誰かにしているのか」とか「この場面では1年後にその時のことを回想してるのかも」とか、
シャッフルされまくっていくことによって、だんだんその二人がかけがえのない何かに思えてくるのが不思議だ。

円山町のラブホテルが舞台で、職場も近かったので、あの辺の感じがすごくわかり、
色々思い出す。
ずっと昔に円山町のラブホテルに行った時に、壁が薄いからなのか、URの「Hi-Tech Jazz」がかなりデカい音で、おそらく近くのクラブから聴こえてきて、お風呂に入りながら「あ、この曲知ってる!」と言ったことを思い出す。

劇が1時間半ほどで終わって、あー面白かった、と席を立とうとしたら、
「引き続きトークを開始します」みたいなアナウンスがあって、
岡田利規と細馬宏通の二人がステージに出てきた。
こんなトークもあるなんて知らなかったし、個人的にもすごく気になっている細馬宏通氏が相手でめちゃくちゃ得した気分。
後で調べたら本当は明日やる予定だったのが急きょ変わって、この回の後になったらしい。
上演期間中、この日のこの回だけみたいだった。ツイてる。
細馬宏通氏はちょっとピーターバラカンみたいな、おしゃれな細身のおじさまみたいな感じで、
めちゃくちゃ物腰が柔らかくて最高。岡田利規もなんかぶっきらぼうで、でも失礼なぶっきらぼうじゃなくて、
普通に変な人って感じで最高。
その二人が、さっきまで劇を演じていた6人の役者それぞれの話をしたり、
舞台(白いガムテープで作られた斜線が舞台の奥に向かって左右対称に何本も伸びている)のデザインの意味について話したり、
種明かしというか、「あれには実はこういう意味を込めました」みたいなことも聞けて面白かった。

今回みたいのは「三月の5日間」の再構築版で、セリフ以外は初演の時とは全然違うらしい。
自分はそっちは見ていない。
体の動かし方や役者の演じ方が違うのだそうだ。気になる。

1時間ほどトークがあって、22時ごろ終了。
三条から京橋へ、酒とつまみを買って京阪で飲みながら帰り、京橋の飲み屋でまた飲んで解散。

by chi-midoro | 2018-02-02 11:46 | 脱力
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