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ブラックニッカ日々 2018-10-31

朝、慌てて最後の朝風呂へ。
釧路駅方面へ向かうバスまで時間があることがわかり、
湖畔の「ボッケ遊歩道」という散歩道を歩く。
「ボッケ」というのは、別府の「地獄」みたいに、火山ガスが泥の中から湧いているようなものを指す言葉で、高温だからその周りには雪が積もらなくて、珍しいコオロギが生息したりしているんだとか。
木の幹に網が巻いてあって、「エゾシカから守るために巻いています」みたいに書いてある。ここで今向こうから鹿が現れたら、結構怖いな。

ボッケの周りは硫黄の匂いが濃い。それが温泉からはそんなに感じられないのが不思議だ。
弁慶が立ち寄ったという伝説のある足湯があって、そこに足を突っ込む。
絶えず温泉が湧き続けているこの場所は冬はどうなるんだろうか。
阿寒湖が目前に広がり、気持ち良い。一度足を入れると、抜けると寒いので、ずっとそこにいるしかなくなる。
何か、そういう、一度入ってしまうと抜け出せないものの例えに「冬の足湯」が使えそうだ。


土産物屋で「ハッカ油」が売られていて、イッチーが「とにかくハッカ油が最高だ」と言っていたのを思い出す。
実際、肌に塗ったり虫よけにしたり、消臭に使ったり、色々用途があるらしい。
小さいスプレーボトルで1000円するのだが、それがお試しで使えるようになっている。
こりゃあ塗りまくらないと損だろ!と顔面に吹きかけて塗り込んだのだが、
ヒゲ剃った跡がめちゃくちゃ痛くなって1時間ぐらい危機的な状況に追い込まれた。

バスに乗って釧路空港を通って釧路駅へ。
今日、釧路から少し離れた場所にある「ビッグハウス」というスーパーの中の「ジョイパックチキン」というファーストフード店を取材することになっていて、一度釧路駅に出てから、バスに乗って行こうと思っていたのだが、まさに今乗っているバスがそこに停まるらしいことがわかる。「鳥取大通り二丁目」というバス停で下車。鳥取から移住してきた人たちが住んでいたために鳥取という地名になっているという土地である。

バス停の目の前が「ビッグハウス」。入ってみると、平日に昼ということもあり、なんというか、ぼんやりした、怠惰な空気が流れているような場所で、ただ「スパカツ」っていう、ミートソーススパゲティにトンカツが乗ったメニューが有名な「泉屋」というレストランは混んでいる。目的のジョイパックチキンの席には誰もおらず、たまに来るお客さんもほとんどテイクアウトするようだ。

「ジョイパックチキン」は40年ぐらい前からあるファーストフードチェーンで、最盛期は北海道に6店ぐらいあったのが減っていって、最後、釧路に残るのみになった店。ここの「カレーチキン」というのが釧路のソウルフードみたいに言われているそうだ。

事前に取材の許可を撮っていたので、お店の方に挨拶して食べつつ写真を撮る。旨い。鶏肉がそもそもとんでもなく美味い。北海道だからなのかな。新千歳バーベキューで食べた鶏肉もそうだったけど、身がふくよかで旨みが濃いのだ。ザンギとかもそうか。鶏の旨さあってのものだろう。

うめえー!あっという間になくなった!もう1個食える!と思いつつも、釧路駅に行くバスがちょうどもうすぐ来ることがわかり、急いで店を出てバスに乗る。

釧路駅前にはほとんど人の姿がない、スコーンと静かで広い感じだが、駅にはスーツ姿の人が10人ぐらいいて、遅れているらしい電車を待っている。駅内に古本屋があったり食べ物屋があったり、昨日の阿寒湖周辺からすれば都会という感じだ。とはいえ、駅前にもそれほど人はおらず、みんなどこにいるんだろうと思う。

駅近くの和商市場に行ってみる。市場内の魚屋さんで色々な刺身が売られているのを好きに選んで単品のご飯の上に乗っけて食べる「勝手丼」というのが有名な市場なのだが、美味しいのかもしれないけど、色々乗せてると簡単に千数百円になってしまう。市場の人たちも、「どこから来たの!買って行きなよ!」みたいにグイグイ声をかけてくるのでなんか気まずい。サッと雰囲気だけ見て、隣の丹頂市場の方に行ってみる。こっちは青果中心で、静かな雰囲気。誰も何も声をかけてこない。恐ろしくでかいキャベツがゴミ袋ぐらいでかい袋に入って売られている。大阪では見かけない野菜も多くて面白い。この丹頂市場には「魚一」と書いて「うぉっち」と読むラーメン屋さんがあり、釧路ラーメンの中でも有名店らしい。

今調べてみたら、水産加工会社に勤めていた大将が魚醤の旨さに注目し、脱サラ後にラーメン店を開店しつつ、悪戦苦闘しつつオリジナル魚醤を作り出し、その甲斐あってここにしか無いラーメンができあがり、人気が出たんだという。昼時だがすんなり座れた。「魚醤ラーメン」の「あっさり」を注文する。

厨房では大将と、御婦人方3人ぐらいが働いていて、みんな和気あいあい、冗談を飛ばしつつ楽しそうに働いていて、そこからしてすごく良い。「今日はもうたくさん働いたから、まかない大盛りでもらうよー!絶対!あはは」とか聞こえてくる。

それで運ばれてきた「魚醤ラーメン」。割とスープの色味は薄くて、確かにあっさりしてるんだけど、飲んだ時の最後にクイッとなんかコクなのか(そもそもコクって何?)濃い旨みが残る。最高に旨い。こんな醤油味があるのか!麺もプッツリした歯ごたえのあるソリッドな感じで大好き。旨い旨い旨い。最後スープを飲み終わるのが悲しくて仕方ない。チャーシューも分厚いのが2枚入ってて、アサリも入ってて、なんかすごかったな……放心。

近くのセコマで酒を買い、あちこち散策する。釧路駅の線路を越えた反対側にも行ってみる。地下道を越えると、さっきの駅の南側より一段とひなびた雰囲気になる。路地に「鉄北センター」という看板がかかっていて、そこに入ってみると、薄暗い、それこそ中津商店街みたいな古いアーケードのかかった細長い道にスナックや炉端焼き屋がひしめいているすごい通り。その通りが並行してもう1本向こうにもあり、何か所か横道でつながっている。写真をたくさん撮る。「夜にまた来てみましょう」と話す。

「鉄北センター」を抜け、朽ち果てたラブホテルの廃墟とかがある辺りを歩く。再び駅の南側に戻り、調べてみるとコンフォートホテルが安かったのでそこを取って荷物を置き、南の方へ歩いていく。「幣舞橋(ぬさまいばし、っていう読みがどうしても覚えられない)」という大きな橋があり、そこから見る夕日が「世界三大夕日」と呼ばれているそうである。ちょうど日が落ちつつある時間で、すでに空が綺麗に染まりつつある。橋から漁船がたくさん停泊している港が見える。川沿いには「フィッシャーマンズワーフMOO」という建物があり、ショッピングセンターと飲食店が一緒になった大きな建物で、その前のベンチで夕日を見ようと座って酒を飲んでいたら、望遠レンズを構えた老紳士が声をかけてきて、「本当は橋の上から見るのが一番綺麗なんですよ」と教えてくれたので急いで橋の上に戻る。夕日は最後、沈む直前で雲の中に入ってしまい、「真っ赤なまん丸の」っていう感じではなかったけど、それでもじゅうぶん綺麗に見えた。「この人たち今までどこにいたんだ?」と思う結構多くの人が橋の上にいて夕日を見ている。

日が沈み、ショッピングセンターを覗いていくことに。その脇、川沿いに「岸壁炉ばた」っていう、テントの中の居酒屋があり、入ってみたいと思いながら、財布の中身を考えてやめることに。後で見たらまさに今日が今年の最終営業日だったみたいで、行けばよかったと後悔が募ってくる。すごいロケーションの店だった。

ショッピングセンターで売っていた白樺の樹液っていうのを買って飲んでみた。アルコール分の無い日本酒みたいな、ちょっとヨーグルトウォーターみたいな、不思議な味がする。体の中の何かの数値が劇的に回復しそうな気配だけはある。

この辺一帯に炉端焼きの店がたくさんあって釧路名物になっているのだが、その発祥店だというその名も「炉ばた」という店が17時から開くのを待って入る。店内はコの字カウンターで、照明は暗め、コの字の中央におばさんが座っていて網で焼いて出してくれる。メニューには値段が書いてなくて怖いのでおそるおそる「ほっけ」「ほたて」と瓶ビール。貝殻に乗って出される肉厚なほたて旨し。プリプリで食べ応えたっぷりのほっけも旨し。素晴らしい。が、たぶんここは発祥の店だけあってちょっと観光地価格で、きっと別のもう少し大衆的な店の方が色々頼めたかもしれなかった。

まだ18時過ぎだが気分的にはもう21時ぐらいの感じだ。時間が早いからか、歓楽街もまだ静かである。昼間に歩いた「鉄北センター」の方へ向かってみる。片方の道は炉ばた焼き屋とか結構看板に明かりが灯っている。もう一方は、一軒だけ明かりがついている。ハイボール300円と書いたポスターが貼ってあって、それなら安心かと思い、その「鶴」という店に入ってみる。店内はL字型カウンター6席ぐらいの小さな、スナック的な店である。華奢でもじゃもじゃパーマ頭のママの店。ハイボールもらいつつ、本来はお通し千円で色々食べ物が出てくるらしいのを、「お腹が割といっぱいで」と半額にしてもらい、それでもカボチャの煮たのや酢の物など出してもらう。

色々お話を聞く。まずこの「鉄北センター」はもとはショッピングセンターで、喫茶店とか靴屋とか、そういう店が立ち並ぶ一角だったのが、みんな立ち退いて居酒屋ばかりになっていき、こっち側の通りはこの「鶴」しか営業していないんだそうだ。反対側の通りにある店について聞くと、「あんまり良い店ないわよ」と、あまり好きじゃないっぽい。また、和商市場は観光客目当てで、大したことないスカスカのカニを高い値段で売っていたりするからやめた方がいいという。あとさっき行ってきた「炉ばた」は昔は良かったそうなのだがやはり観光客目当ての店となり、値段も高くなり、地元の人は誰もいかないのだという。「どこに行くのが正解なんですかね」みたいに聞いてみたが、「釧路には行くところがないのよ」と言う。酒はみんな家で飲むと。あと、不思議なもので、雪が降ってグッと寒くなると、みんな店に来出すんだそうだ。「なんか興奮するんでしょうね」とのこと。今は日本シリーズをみんな家で見てるからお客さん全然いないそうだ。

ママは釧路生まれで絶対釧路なんか出てやる!って思っていたけど、「気づけばずっと釧路」と言う。札幌へはここから電車で4時間以上かかるから滅多に行くような場所ではなく、かといって釧路にはオシャレな服を売るような店がまるでないので、オシャレな服を買う時だけ、デパートのある帯広まで行くんだそうだ。それでも2時間ぐらいはかかるという。北海道のスケールよ。

「市場で買ったらこんなので千円ぐらい取るわよ。そこら辺のスーパーで買った方がいい」というシシャモを焼いて出してくれた。お腹いっぱいだったが食べてみると確かに外はパリパリして中身はふっくらして旨い。

ハイボールをおかわりし、ご常連らしいおじいさんが入店し、しばらくしたところで店を出る。地下道では、制服姿でウサギの耳をつけたような女の子が二人いて、男子生徒が写真を撮っている。SNSになんかするハロウィンのなんかなのか、よくわからないけど、地元の若い人を初めてみたような気がした。

セコマの焼酎とセコマの茶で作ったお茶割りを部屋で飲んで寝る。

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by chi-midoro | 2018-11-06 21:28 | 脱力
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