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ブラックニッカ日々 2020-05-29

9時半からオンライン会議があり、寝過ごさないようがんばる。
そのままパリッコさんと動画を収録したりして、気づけば11時。
今日は12時に平民金子さんと芦原橋駅で待ち合わせることになっており、焦って支度。
シカクへ手伝いに行く時以外電車に乗ってなかったので、やや緊張する。
芦原橋駅に着くと平民さんは家を出たばかりみたいで、とりあえず今日の目的地である「リバティおおさか」まで歩く。
「リバティおおさか」は5月31日で一旦閉館することになっていて、今週から無料開放している。
それで平民金子さんが行かないかと声をかけてくれたのであった。

「リバティおおさか」のことは前から知っていて、知っていたのに足を運んだことがなかった。橋下さんがこんな施設いらないと助成金をカットし、さらに土地を市に返せと訴訟を起こした。今施設がある場所はもともと栄小学校という学校で、それが
「大阪の部落解放運動の勃興期における西浜部落の人達の自立と解放への熱意の結晶である栄小学校の旧校舎もまた50余年の風雪を経て現在その使命を終えようとしており、かつてこれらの有志の人々から寄贈されたこの歴史的遺産を継承し、現在に生かすことはまことに意義深いものがあると考えております」ということで(リバティおおさかのサイトより引用)1985年に「リバティおおさか」になった。

大阪市側との訴訟は和解に至ったものの、そこからは助成金なしでカツカツ状態で運営されてきたという。
しかし、人権博物館という国内にも他にない施設がある意味合いの大きさを考え、一旦この場からは離れるものの2022年に再度別の場所で開館することを目指しているという。

と、その「リバティおおさか」を見に行こうとしているわけである。
そこへ至る道が緑道になっていて、そこに座って平民さんを待つ。
平民さんは出がけにニューヤスダヤのワンコインカレー弁当を買ってきてくれており、まず二人でそれを食べる。
市場で買ったという「カラスミ」も半分わけてもらい、半額を支払う。
ニューヤスダヤのカレー。スパイシーでとても美味しかった。
座ったベンチの前にはエイサーの太鼓の銅像があり、この辺りは皮革産業がさかんで太鼓職人もたくさんいたから、それで太鼓モチーフのオブジェがたくさんある。

平民さんの家にネズミが現れた話など聞きつつ食べ終え、「リバティおおさか」へ。
入口に消毒液、入館時に検温。
物販で売られている過去の展示の図録などがセール価格になっていて、まず色々買う。
そして展示を見て行く。

展示内容を公式サイトから引用する。

「ZONE1いのち・輝き」
・人工呼吸器をつけて生きる ・性別にとらわれない生き方 ・働く権利 ・DVや児童虐待 ・HIV/AIDS ・環境 ・犯罪被害者 など

「ZONE2 共に生きる・社会をつくる」
・世界と大阪 ・在日コリアン ・ウチナーンチュ ・アイヌ民族 ・ハンセン病回復者 ・障害者 ・ホームレス ・被差別部落 ・大阪の歴史 など

「ZONE3夢・未来」
・いじめ ・働くということ など

という大きなZONEが3つあるのと別に「写真家ユージン・W・スミスと、アイリーン・M・スミスが撮影した水俣病の実態」という写真コーナーがあった。

それほど広いわけではない展示スペースにこれだけ多くのテーマについての展示品が割とごっちゃな導線の中にある感じで、一つ一つの展示品もそれぞれ説明が丁寧なものもあれば、ポンと置かれているようなものもあって、つまり何が言いたいかというと、決してポップで分かりやすいような展示にはなっていない。

けどじゃあどんな風にこのようなテーマを展示するのべきなのか、というと、やはりこうしかないんじゃないかと思う。「世の中は人生はままならない」「差別を受ける人はみんなまったく望まずにそのような境遇になった」「誰だって”普通の人生”から社会的に弱い立場にいきなりなり得る」みたいなことを総体として伝えてくる迫力がありさえすれば、あとは各々持ち帰るしかない。

小学生がここに見学に来て、たぶんみんな重たい気持ちになるだろうけど、その重たさは生きるバランスに必要な重心なんじゃないだろうか。イケイケで生きていける時間だけが人生にあるわけじゃないと思えるだけで意味があるんじゃないかと思いながら何周か見てまわり。

途中、食後のぶっ倒れそうな眠気に襲われ、中庭を囲むように配置されたベンチで眠る。
平民さんはずっと展示を見ている。

時間が経って徐々に館内に人が増えてきた。
ニュースにもなっていたし、週末は混むのかもしれないな。

母と妹たちとやり取りしているLINEグループにブルーインパルスが医療従事者へ感謝の意を表して飛行したのを外で見て、感動したという母のメッセージが届いた。なるほど確かに空を見上げてシューッと飛んでいく飛行機が、感謝の意だと知っていて、それはなんかおおと思わされるかもしれないなと思う。と同時に、例えば戦闘機が戦地に向かって飛んでいくのを見たら「みんなお国のためにがんばってるんだ!」って有無を言わさず思わされるみたいな、もうそこから誰も戦争に文句言えなくなるみたいな、そんな怖さも感じる。だいたい飛行機で感謝の意って、医療になんの関係があるのか、謎ではある。

父は明日から三越で仕事。大喜びしているそう。
それを聞き、父にしたら感染リスクを考えて家にずっといる日々が長引くぐらいだったら、リスクあってでも人の中で商売している方が人生だろうなと思った。とはいえ、もしそこから健康を害したとして、父だけで終わらないのがやっかいなところ。それはさておくとして、商売に生きる人にとっては商売を止められるって単純な損得を超えたもので、保証金が十分にもらえたとしても辛いものであろう。あまり自分はそれを想像できてなかった。

リバティおおさかの展示でグッタリ体が重たくなり、吹き飛ばすように平民さんと明るい日の光を受けながら歩く。
ロンT着ていった自分だが、汗ばむほどだ。
いつの間にか大正駅の方まできた。
「クラスノとかやってるんですかね」とふと言ってみて、「ああ、クラスノな、ちょっと見てみよか」と路地裏へ。
すると開いている。一度店の前を通り過ぎ、突き当りで相談。
「どうする、カウンターは開いてたよな」「瓶ビール1本飲んで出ましょうか」とそんな風に、のれんをくぐる。ドアは開け放してある。
カウンターで3代目(4代目か?)のお子さんがジュースを飲んでいる。幼稚園の制服を着ている。
隣のお客さんに「いいなぁ!ジュース。ビールよりうまそうや」などと話しかけられ、楽しそうにしている。

我々が座ったカウンターのすぐ向かいに店主がおり、右の方にその息子さん。
瓶ビールと出し巻きと焼きなすとえのき肉巻きを頼み、瓶ビールのうまさ、ナスのうまさ、出汁巻きのうまさ、えのきの歯ごたえ、全部ゾクゾクと体が震えるように味わう。
それだけは息子さんが任されている出汁巻きの味。涙が出そうだぞと思ったが涙までは出ず、鼻を少しすすった。
チューハイ一杯ずつおかわりして黙々と飲み、お会計をお願いする。
お店は先週から営業を再開していたんだそうだ。

コンビニで缶チューハイを買い、最後にもう一缶と川沿いへ。
昔取材した2117のあたりはずいぶんおしゃれな川沿いのバル街になっていて若者多し。
開放的な空間が今のみんなの行きたい場所のイメージにマッチしているのかもしれない。

我々は川を挟んだその向かいの何もない場所に腰かけ、話す。
さっきのクラスノではさすがに話し込む気になれなかったが、お互い川をむいて周りに誰もいないこの場は気楽だ。
10万円の給付金の使い道とか、ほかにもお金の話をたくさんして楽しかった。
ウイルスに対してビビっていくのがいいと思うと平民さんは言っていて、自分はビビりなので引き続きビビッていこうと思った。

飲み終えて18時過ぎに解散。
帰りの電車は結構混んでいて、言葉は出さず、手だけ上げて大阪駅で平民さんと別れる。
帰宅して風呂に入り、夕飯を食べるとすぐに眠くなり、起きたら23時だ。

ぼーっと明け方までパソコンの前。
全国的に町に人出が戻ったというニュース。
しかし、この自粛解禁ってそもそも根拠のないもので、感染者はゼロになったわけじゃなくて、少しだけだとしてもいるんだし、みんなの「もう我慢できない!」がせき止められずに漏れ出しただけみたいな気がする。この次の「やっぱ自粛で!」ってなった時の落ち込みがこわい。

まあ自分も今日は外を出歩き飲み食いもした。実際それでかなり気が晴れた。
明日からまたしばらく自粛だな。


by chi-midoro | 2020-05-31 04:36 | 脱力
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