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ブラックニッカ日々 2017-09-23

7時前にみんな目を覚まし、8時半頃にはりんご音楽祭の会場に着いた。
寝不足な感じはあるが、空気がひんやりしていてなんか目が覚めた。

駐車場近くでテクノウルフで来てるモロオカマナブさんに会う。

入場し、トークの会場である「いなごステージ」に向かう。
結構みんなの通り道になりそうな場所にある。

一通り会場を歩く。
元スフィンクスのアリさんも照明係で来ていた。

みわさんよいまつりさんにも挨拶。

なるほどこれがりんご音楽祭。
なんかのんびりした良い感じの空気だ。
居場所はいくらでもある。

200円のビニールシート買って横になる。
そしてゆっくりした時間はそれが最後で、あとは一気に時間が過ぎ去っていった。

トイレでひげ剃ってたらパリッコさんが来た。
テクノウルフのライブの最後の方を佐伯さんと見た。
めちゃかっこよい。
ダイズさんにも会えた。

中原昌也を見かける。

アリさんが「あそこ最高だよ!」と教えてくれた「カラオケ居酒屋 春ちゃん」に行ってみる。
フェスエリアの端にある。
那覇市安里にあるお店が店ごと出店してるらしく、沖縄的なドリンクとフードがあり、
酒が一番安い。フェス会場ではどんな酒も最低600円だが、この店だけは一杯目が500円、
プラカップを再利用すると400円という親切価格。
さらに2品なにか頼むとカラオケ券がもらえて、青空カラオケができる。
そんで、お店のみんながそれぞれ超いい。
くねくねした動きがたまらない春ちゃん、アフロの人、すげー太ったコワモテの男、
和服の男、キラキラしたドレスの人、はいからさんが通るみたいな格好の女性。
それぞれキャラがバラバラ。

ゆず泡盛っていうのがめちゃうまい。
そしてカラオケ歌ってる人がいると店全体で盛り上がる。
パリッコさんも、原田ちあきさんも、みゆきさんも、あいどんさんも歌う。
なので自分も尾崎豊を歌う。

「いやー最高」とか言ってたら出番の時間。

13時過ぎからパリッコさんと酒の穴トーク。
相当あやふやな内容だったが、みわさんがしっかり進めてくれた気がする。
テクノウルフのみんなとか見に来てて緊張した。

その後、シカクのトーク時間にもそのまま出て、それが終わったら楽屋へ。
テクノウルフのセキくんが作ってくれたウーロンハイを飲む。

それからどうして過ごしたんだろう…。
またパリッコさんと「春ちゃん」に行って、アリさんもいて乾杯して、オバさんもいた。
けんちんさんとUCさんが「そろそろコテージに向かう時間です」と迎えに来てくれたその二人も
ちょうどみんなで歌ってた「世界に一つだけの花」を歌うことになり、
最高だ―などと言いつつ、みんなで会場を後にしたのだ。
vocのぼのさんもいたな。

車に乗ってスーパーで今晩のバーベキュー用の買い出し。
そして今日の宿となるコテージへ。

BBQ名人の山本さんが手際よく準備してくれて、
パリッコさんとUCさんが野菜を切って俺はウロウロしていた。

そのうち、第2陣、第3陣とたくさん人がきて、みんなで肉や野菜を焼いて食べ、
楽しかったということしか覚えてない。

パリッコさんが寝て、かなり遅くなって佐伯さん、ぼく脳さん、みわさん、よいまつりさんもコテージに来た。
ぼく脳さん、緊張して話しかけたけどすごい優しい男だった。
山道をめっちゃ底の厚い靴でそろそろ歩いてて面白い。

元気のある面々で山の上の大浴場へ。

佐伯さんがまた部屋に来て、遅くまでしゃべった。
そのうちパリッコさんも起きてきてまた飲み出したり、この感じ。
幸せなひととき。

# by chi-midoro | 2017-09-26 13:27 | 脱力

ブラックニッカ日々 2017-09-22

朝目を覚ますと腰はそんなに痛くなくなっていた。
よかった。
お眠り様、ありがとうございます。

今日中にやるべき仕事をコマゴマ進める。
今夜から「りんご音楽祭」に向かう車に乗り、帰りが日曜になる。
昼はすみれのカップ麺。札幌で食べられなかったので。

日記書くのに時間がかかりあっという間に夕方。

明日あさっての準備を急いで進める。

夕飯はスパゲティ。
22時にけんちんさんの車に乗って松本に向かう予定なので21時過ぎ大阪駅に向かう。

待ち合わせは大阪駅前の、以前郵便局だった場所。
早く着いたので喫煙所に行ったらタバコ一箱もらえた。幸先がいい。

けんちんさんが運転する車のメンバーは、BBQ名人の山本さん、UCさん、ビロさん、原田ちあきさん、みゆきさん。
何度かサービスエリアに止まりながら目的地を目指す。
途中、別の車で来ていたおだ犬さん、あまみさん、廃墟写真家のダミアンさんたちとも会う。

午前3時頃、サービスエリアの駐車場でそのまま就寝。
7時まで寝るとのことで、眠れるか心配だったが、最初全然眠れず、
かといってガサガサするとみんなに迷惑、という緊張感。
いっそ外で眠ろうかと思うがそれには寒すぎる。
たまに小雨も降っているし。

とにかくなんか考え事して断続的に眠った。

# by chi-midoro | 2017-09-25 04:56 | 脱力

ブラックニッカ日々 2017-09-21

昨日ひどく飲んだので、体調が最低である。
それでも9時にパッと目が覚め、起きることは起きれた。
シャワーを浴びて、荷物をまとめるともう10時だ。

オエオエいいながら、北海道庁の方へ歩く。
昨日、加藤さんと飲んだ一軒目の「金ちゃん」で、加藤さんが俺を待つ間に隣の席のお客さんと仲良くなった。
その人は根室から来ていて、道庁前で行われる「根室のさんま祭り」みたいなイベントでさんまを売るため、何日か滞在しているんだという。
その人は「明日も10時からさんま売ってるよ!」と言っていて、加藤さんも俺に向かって「おい、お前絶対明日いけよ!大将の写真撮ってこい!握手して写真とって俺に送れよ!」と何度もうわごとのようにつぶやいていたので、なんとかして行かねばと思ったのであった。

道庁前に着いてみると、すごい数の人が焼きさんまの行列に並んでいる。
200人ぐらいいるような雰囲気だ。
他にさんまの汁と、飲み物なんかもブースが出て売っている。
しかしそのどれも、まったく人が並んでいない汁でさえも自分は飲める状態ではない。
どうしようと思ったらさんま15尾2200円の箱入りで売ってるブースがあり、
そこに昨日の大将がいたので、これを買って家に送ろうと思った。
そうすれば、加藤さんがおごってくれたホテル代を良い形でどこかに返したことにもなろうというもの。
1ケース2,200円と送料2,500円ほどでちょうど5,000円近くなった。
大量のさんまをどうやって食べればいいかわからないけど、まあ勢い。
大将にも「買わせてもらいましたよ!」と声をかけることができた。
めちゃくちゃ忙しく働いていたのでそのまま去る。

それにしても体調がひどい。
幽霊のマネでもしてるかのような足取りで札幌駅まで向かい、
今日、取材に行く予定の「東千歳バーベキュー」がある三川駅というところまでの乗り継ぎを調べる。
乗るべき電車までの発車まで1時間あるようだったので、駅のベンチで寝る。
目が覚めるとちょうど室蘭本線 岩見沢行の電車が来た。それに乗り。また眠る。
とにかく眠り続ける。およそ1時間ほどで岩見沢駅に着く。
そこで室蘭本線 苫小牧行に乗り換え、40分ほど。2両編成の可愛い電車で、窓が曇りガラスかのようにぼんやり曇っていて、
そこから見える景色がそのまま植田正治がベス単で撮った写真みたいである。
車内はすいていて、だらっと座りながらまた眠り、たまに窓の外を見る。

三川駅に着く。
駅前からズドーンと何もない。
おそらくこういう場所だろうとは思っていたが、そうかやっぱりこういう場所か。
国道234号線。真っ直ぐ続く片側1車線ずつの道をでっかいトラックがものすごいスピードでガンガン走っていくその横をとぼとぼ行く。
天気が良いのだけが救い。涼しくて気持ち良い。
自販機があれば飲み物を飲みたいが、一切見当たらない。
道の両脇は、畑、あるいは草原、もしくはなんかの工場とか、そんな感じだ。

たまにふと力が抜けて倒れてしまいそうになる。
このまま土に還りたいような気分だ。

駅からまっすぐ40分近く歩く。
分かりやすいと言えばこれほど分かりやすい道はないが、これ東千歳バーベキュー食べて帰りお腹がギュルギュル言い出したりしたらどうしよう……。草原でやるしかないな。などと思いながら歩き続ける。

ようやく東千歳バーベキューの看板が見えてくる。
今日はここを取材しに来たのだが、取材と言っても正式にお願いをしておらず、事前に、ライターをしているのだが写真を撮っていいか、ぐらいの確認しかしていない。お店の方がそういうのを迷惑がる方だったらどうしようと思いつつおそるおそる入店。
そうだ、これだ。
ハナイさんやnakayoshi groupの平野さんとかと来たのはいつだったろうか。あの時は雪だった。

平日の14時過ぎとあって、男性3人組、男女カップルが1組いるだけだった。
鶏の半身を焼いて食う「焼肉」が900円と200円の「野菜炒め」。セルフサービスの飲料の冷蔵庫から瓶ビールとお茶を持ってくる。
野菜炒めうまい。塩コショウだけじゃないかと思うようなシンプルな味なのだが、なんなんだろうこの美味しさ。
コリコリした軟骨肉も入っている。

鶏肉もすごい。なんとホクホクした、旨みの濃い肉だろうか。
しかしとにかくボリュームがすごい。
一人じゃ到底食べきれない。何人かで来たかった。
肉も野菜も旨いが、今一番旨いのはセルフで持ってきた「太陽のマテ茶」である。死ぬほど染みる。

二組のお客さんがぽつりぽつりと帰って行き、客が俺だけになった。
綺麗な奥さんが駐車場をみて「え!!歩いてきたんですか!?」と言う。
「はい…三川から。ははは」と答え、それをきっかけに色々お話を伺う。
ライターをしていること、何年も前にここに連れて来てもらって以来、ずっとまた来たいと思っていたことなどをお伝えする。
奥さんもご主人も気さくで、店の歴史のことを教えてくれる。
新千歳空港に向かうなら、三川駅に引き返すよりさらに真っ直ぐ進んで追分駅に行った方が電車で行きやすいと教えてくれた。
ただ、追分駅までは5.8kmほどある。徒歩なら1時間ちょっとだろうか。さっきの倍の距離だ。
どうしようかな、まあ時間に余裕はあるが、と思っていると、ご主人が「いいですよ!今ちょうど暇だし、車で送っていくよ!」と言ってくださる。なんとありがたい…

お会計をし、お二人のことも写真に撮らせてもらって、記事ができたら必ず送ると約束して店を出る。
ご主人の運転する車に乗せてもらい、追分駅へ向かう。
ご主人は自衛隊にいたそうで、近くの駐屯地に10年少し前までいたという。
自衛隊をやめて東千歳バーベキューを手伝うようになり、冬期だけ、新千歳空港の除雪作業をしているそうだ。

新千歳空港の除雪作業は世界一の規模で行っているそうで、
滑走路は絶えず雪で滑らないようにしていなければならないので、15分間隔ぐらいで何度も何度も、
一日中除雪し続けることもある。
新千歳空港では横幅60メートルの滑走路を「V字雁行除雪」といって、
鳥がV字に群れを作って飛ぶように、14台の除雪車を連ねて行うらしい。
見に来てみたい。

ご主人の息子さんは自衛隊に入って、新千歳空港の隣にある駐屯地にいるらしく、
航空部隊なので、自衛隊の滑走路から飛行訓練なんかしていて、
「親父は隣で滑走路を除雪して、息子は隣で飛んで、なんか変な運命ですよ」と言っていた。

追分駅に着く。
駅前の建物を指さし、「ここの温泉がいいんですよ。というか追分にはここぐらいしか遊ぶとこないの。ここだけ」と言う。
お礼を言い、駅で時刻表を確かめる。
乗る電車まで1時間半ほどある。

ご主人の教えてくれた「ぬくもりの湯」に向かう。
500円の入浴料、100円のタオルを買って入るとすごく綺麗な施設である。
おしゃれな内装の浴室には大きな湯舟が2つと、外にサウナと露天風呂がある。
3角形にデザインされた露天風呂の湯舟。
壁には名物のメロンと馬がタイルで描かれている。
体をあたためて、そのまま外の椅子に座って全裸で風に吹かれながら最高の時間を味わう。

内風呂に入ってみると、敬老の日のイベントで、ヒノキの丸いたがたくさん浮かんでいて、1枚ずつおじいちゃんおばあちゃんへの感謝のメッセージが書かれている。地域の子どもたちが書いたのだろう。その板がジェットバスの水流に流されてこっちにグングン流れてくる。
1枚1枚読む。長生きしてね、ばっかりの拙いメッセージ。たまらん。
長生きしてね、以上の言葉ってないんじゃないだろうか。

これもまたアートじゃないだろうか。こういう瞬間にかなうアートはあるんだろうか。
勝ち負けじゃないな。こういう瞬間を再現しようとしてアートがあるような。
浴室内には5人ほどの老人。
そして脱衣所に戻ると、小さな音量でサチモスの「トーキョーフライデナーイ」みたいな曲が流れていて、
なぜ今ここでプレイされるんだろう、と思って笑った。

メジャーデビューするということは、こういう隙間に、予期せぬ形で入り込むということだろう。
自分の歌はこうである!自分の歌はこう響いて欲しい!なんてコントロールしようと思うことの方が小さく思える。

休憩所もある。パソコン借りてインターネットもできる。
食堂で酒も飲める。
ハセガワさんならずっと仕事していられそうな場所。

畳にゴロンと横たわり、なんだか詩が書けそうだと思ってノートにずっと書く。

電車の時間が近づいてきたので施設を出る。
モーというのでそっちを見たら温泉の目の前に満載の牛を積んだでかいトラックが2台。北海道すぎる!

駅から1輌だけの電車に乗って南千歳駅へ。
そこからは新千歳空港まですぐだ。
今度もし電車で東千歳バーベキューに行こうと思ったら、
新千歳空港から南千歳まで行って追分まで行って降りて一時間歩く。
あるいは駅前からタクシー、が正解だとわかった。

新千歳空港に着いて、本屋で帰りに読む本を買ったり、お土産屋を冷やかして時間を潰す。
さっきの東千歳バーベキューが食べきれなかったぐらいなので、もちろんそんなにお腹は減ってなかったが、
なんかもったいない気がして空港内の「ラーメン道場」という色んなラーメン屋が入っているエリアで、
「一幻」のえびしおラーメンを食べる。
旨い。でも満腹過ぎる。

今回は早々に搭乗ゲートをくぐる。
出発まで1時間以上もある。余裕。
充電できるスペースで充電しながらずっと寝る。

出発の時間がきて、すーっと離陸。
また寝る。今日ずっと寝てる気がする。

飛行機が大阪に着いて、時間を見て、あれ、と思って調べたら、桜ノ宮駅までの終電がもう無いことがわかる。
予定より20分ぐらい遅れて着陸したようだ。
こっちが遅刻したらめちゃくちゃ焦らせるのに、飛行機側の遅刻はケロッとしたもんだ。
なんのことわりもない。
まあ誰が悪いわけじゃないけどさ。とにかくこれで遅刻はおあいこだ。

大阪駅までしか行けないので、そこからタクシーかー。なんだよこの無駄遣い、と思っていたが、
天王寺駅についた時の車内アナウンスで、環状線の最終があるという。
イチかバチか乗り換えてみたら、なんとスマホの検索ではもうダメ扱いになっていた電車に乗れたのである。
あぶねえー。

そんなわけで0時半過ぎに無事帰宅。死ぬほど疲れた。
リュックが重かったからか腰が痛すぎてどうしようもない。
寝ても眠れないみたいな。
無理矢理酒をあおって眠る。

# by chi-midoro | 2017-09-22 17:00 | 脱力

ブラックニッカ日々 2017-09-20

10時にホテルを出る。
札幌国際芸術祭を見に来ていたガキさんと合流し、セイコーマートで買ったつまみでピクニックするという取材。
色々手伝ってもらって助かる。

11時半頃、大通駅から真駒内駅、バスに乗って芸術の森へと進む。
工芸館という施設でやっている山塚アイの「ドッカイドー」という展示を見に来た。

「ドッカイドー」は、真っ暗な空間に、蓄光塗料で描いた点が床一面広がっている、みたいな作品で、
目が慣れるまで時間がかかるため、会場に入る前にサングラスをかけてしばらく待つ。
カーテンの向こうに入ってみると、周囲にぼんやり光が見えるけど足元がまるで見えない。
「横になって鑑賞されているお客様もいますのでご注意ください」とのこと。
踏まないようにしなければ。

床にいきなりモコモコしているところがあったりして、ちょっと不安を感じる。
けど、結構すぐに目が慣れてきて、あそこが壁か、あそこに人がいるなというぐらいはわかるようになってくる。
足元をみると本当にすごい数のドットだ。
蓄光塗料の光って、ともすればラブホとかカラオケボックスの、ブラックライトで浮かび上がる壁画みたいに、安っぽくもなってしまいそうだけど、そうならないのはドットの数。執念を感じる。

場内には、なんか民謡か童謡か、古い歌を歌う歌声にエコーがかかったりエフェクトがかかったりしているような音楽が流れていて、気味が悪いっちゃ悪いんだけど心地よい。死後の世界の音楽みたいな感じだ。

「横になって鑑賞してもいい」というので、寝っ転がる。
天井にはドットがないので、あおむけに寝るとあまり実感がわかず、うつ伏せか横向きに寝るとすごく良い。
光の広がり。マットの感触も柔らかくてこのままずっと寝ていたくなる。
ちなみに場内で履くスリッパにもドットが打ってある。一つずつ違うらしい。

たまに起きあがって歩いたり、また寝たり、30分ぐらいずっといる。
自分が思う最高の寝場所ベスト3に確実に入る。
徳島行きのフェリーの雑魚寝スペース。山形の父母の実家の畳。があとの二つだ。

蓄光塗料で描いた作品なので、光を溜めないと徐々に薄れてしまう。
なのでこの展示は1時間経つと明かりをつけて、また1時間後に公開される。
その終わり際にちょうどいたので、最後、室内にパッと明かりがつく。
すると今まで広がっていた最高の空間が、ホールの床に敷かれたカラフルなマットでできた世界だったことがわかる。
魔法がとける瞬間。
スタッフの方が「これが種明かしです!すごいでしょー!」と、本気でこの作品を好きな感じが伝わってきてよかった。
誰にでもわかるし、だけどどこにもないような作品である。最高!
ドッカイドーTシャツが販売されているらしく、絶対買おうと思ってきたのだが、売り切れてしまったらしい。残念。

芸術の森美術館の入館チケットを買い、クリスチャン・マークレーの展示を見る。
レコードに傷をつけて再生したり、バラバラに割ったレコードをめちゃくちゃに組み合わせて再生したり、
レコード自体をこすり合わせて音を出したり、みたいなことをやっていた人で、
道に落ちてるタバコの吸い殻の写真を延々つなぎあわせてアニメーションみたいにした映像、
道に落ちてるマクドナルドのジュースのプラスチックの蓋とそこから突き出てるストローの写真を時計に見立てて、
ストローが秒針になるようにしてある映像など、
なんかいちいち面白いことをしている。アイデア一発って感じだけど気の遠くなるような時間のかけ方を感じる。

今回の展示作ではないが、例えば「The Clock」という作品は
”古今東西の数千にものぼる映画作品の中から時計が出てくる場面を集め、時計の針が順番に24時間を指すように映像とサウンドをコラージュした力作だ。作品の長さは24時間あるため、展示場所の実際の時間軸に合わせて上映することができるという凝りに凝った話題作”とのこと。こういう方向性がとにかく好きな人である。

展示の最後にターンテーブルを100台並べて、レコードでスクラッチノイズを出したり、ディレイをかけたりして演奏している映像があり、最高だった。そこに大友良英も参加していた。

美術館を出ると雨。
屋根のある場所で、昼にセイコーマートで買ったワインを飲む。
こうして雨が弱くなるのをじっと待っているのも、なんかの作品を見ているような気持ちになってくる。

雨が小降りになったのを見計らって野外美術館っていう、
そこら中に彫刻作品が展示されているスペースを歩いたりして、
15時のバスで真駒内駅へ戻る。
そこから地下鉄で大通駅まで戻り、
すすきのの「金市舘ビル」というでかいビルで展示されている梅田哲也「わからないものたち」を見る。
解体予定らしいビルの、普段何もない、廃墟っぽい広々としたスペースで、
ところどころに変なものが展示されている。
例えば、定期的に音を立てるブリキの板とか、たまに付いたり消えたりする照明器具いろいろ。
りんご型の水槽に水が落ちてくる作品もある。壁の一部がすごく小さな窓になっていて、向かいのビルで働いている人が見えたり、そういう何とも言いようのない仕掛けとかオブジェが至るところに散在。しかし全体として居心地がよく、いつまでもいられそうな場所。
こういう作品ってなんなんだろう、言葉でうまく言えないってことは作品である意味があるということだろう。とにかく面白い。

それを見終えて、別のビルでやっている展示を見に行く。
地図みてたどり着くと、昨日飲みに行った「金富士」のあるビルの、金富士と同じ地下1階が会場で、
昨日飲んでいた店の先にこんな場所があったとはと驚く。
「レトロスペース坂」の店内を再現した展示、店内が装飾品だらけのすすきのの居酒屋「大漁居酒屋てっちゃん」を再現した展示、北海道に昔あった秘宝館について展示しているスペースなど、都築響一関連の展示が並んでいた。つまりこっちはアウトサイダーアートというか、意図せざる芸術、みたいな方向性だ。もちろんこれはこれで面白い。

ガキさんは飛行機の時間が迫って帰っていき、少し時間を潰して狸小路の果てにある「繭」という居酒屋さんへ。
18時から取材をさせてもらう予定だったが17時半に店の前に着いたら、店が開いていた。
店主の繭さんに挨拶すると、「お店をあける準備をしますので、なおさん、よかったら隣の金富士で飲んできたらどうですか?素晴らしいですよ」とのこと。
その金富士とは、昨日飲んだ地下の金富士の本店で、接客に難ありとのことで低評価だった店。
繭さんによれば、「瓶ビールしかないから『生ひとつ!』って言わないようにして下さい。『帰れっ』て言われますので。あとは普通にしていたら大丈夫ですよ」とのこと。
緊張しつつ入店。80歳ぐらいかと思われる店主がカウンターの端を指さすので座る。
穏やかそうなお母さんにまずは瓶ビールをお願いし、「この紙にご注文を書いてくださいね」というので、つくねとガツを。つくねは2本、ガツは4本と決まっているようである。
店主はテレビの相撲を食い入るように眺めながら串を焼く。

緊張しながら待ったつくね、旨すぎる。
涙が出そうになる。
ガツもうまい。こちらも昨日の支店と同じく、玉ねぎがピリッときていい。
そうだ、昨日もつくね食べたんだ。でも形も味も全然違う。
18時になるといきなりサラリーマンたちで満席となった。
自分はそれだけ飲み食いしてお会計をお願いする。
すると、店主が990円。と言い、パチッとカウンターに10円玉を置く。
「あ、あ、」と言っていると、ここに千円を置くように、という感じで無言で指をさす。
そこに千円を置いてでてきた。緊張したー。

で、繭で取材を開始。常連客を呼んでくれたようで徐々に女性たちが集まってくる。
正直ここでずっと飲んでいたいと思ったが、19時半から約束があった。

大阪の天王寺で漫画家のはたのさんと一緒に「種よし」を取材したときに、
偶然隣り合った加藤さんという男性で、札幌に住んでいて、たまにFacebookで札幌の居酒屋情報をメッセージで送ってくれたりしていて、
「札幌行くときはぜひ飲みましょう!」と話していた。
メガネをかけた清潔感のある50代のおじさまで、いつもFacebookでは「先生!良い店を見つけましたよ」などと、なぜか俺を先生と呼ぶ。
一度会っただけだが、すごく紳士な感じの方だったという印象がある。
その加藤さんに事前に連絡してあり、19時半から「焼鳥 金ちゃん」という店を予約してくれたと聞いていた。
「繭」での取材が伸びて約束の店に着いたのが20時半頃であった。

カウンターだけの店の奥に加藤さんが座っていて、そこに行くと
「おい!お前!早く座れ!飲め早く!」と加藤さんが言う。
こんなキャラだっけか?
驚きの豹変ぶりである。
しかしこれは自分が遅れたことに怒っているわけじゃなく(それもあるだろうけど)
どうもこういう人らしい。
「お前、この店なっかなかとれないんだからな。うまいんだよ!早く食え!金ちゃん(マスターのこと)、一通り出してやってこいつに!」と言う。
さっき焼鳥食ったし、お腹いっぱいだったが頑張る。残した分はパックに入れて持ち帰りに。
加藤さんからお土産いただく。
なんというか、激しいツンデレなのだ。

「金ちゃん、こいつねライターやってんの。全然売れないんだ。誰も知らないよ。でもいい文章書くんだよ。書かせるとうめえんだよな。おい名刺渡せ金ちゃんに!そんでこの店を、書け!なんかに!」
とか言うので笑う。ものすごい勢いである。

金ちゃんは東京オリンピックの聖火ランナーをしたことがあるらしく、壁にその時きたユニフォームが飾られている。良い店だったけど味わう余裕なし!また行かねば。

「今日は4軒は行くからな」と加藤さん。

金ちゃんを出て、「おおとも」という寿司屋へ。
「いくら丼食え!いいから!お前こんなの食ったことないだろ!」といくら丼をいただく。うまい!腹いっぱいすぎる!
「大将こいつね、売れないんだ全然!まったく!こんなやつなんだけど文章書かせたらなかなかうめえんだよ!」
そう言いつつ加藤さんはコハダかなんかつまんでいる、
「お前今日ホテルどこだよ?」というので、「いやまだ取ってなくて、マンガ喫茶がカプセルホテルにでもいこうと」と言うと、
「信じられねえよ!宿も決めてないんだって大将!バカかお前は!」とのことで、近くの宿を電話してとってくれるのであった。
「宿泊代は?はい一泊5000円ですね?はい」といって電話を切り、俺の胸ポケットに5000円をねじ込んでくる。
「よしキャバクラいくぞ!」と加藤さんが言うと寿司屋の大将が「アパッチもいいんじゃないですか?」と言い、「おお!アパッチね!いいですね」となった。

それで、そのビルの上階にある「アパッチ」というバーへ。
薄暗い店内。カウンターに50代男女カップル。
カウンターの内側には小柄で寡黙そうな髭のマスター。正直コワモテである。
後ろの棚にレコードがぎっしり並んでいて、そこから選んだディスコサウンドを矢継ぎ早にプレイ。
加藤さんは常連なのか大してそうでもないのかわからないが、マスターに「あれかけてあれ!なんだっけ。なんとかかんとかのハートブレイカー。女の!」と言い、マスターは「…わかんない。たぶん、無い」とそっ気ない。
「いやーあれだよ!ウィーアーザワールドも参加してる歌手でさ。おい動画出せ!」と俺に言うので、ウィーアーザワールドをスマホで流し、三人で見る。「ディオンヌワーウィック!そう!ハートブレイカー!」というとマスターは5秒ぐらいで棚からLPを取り出してかけてくれる。「これこれ、懐かしい。懐かしいよマスター」。いつの間にか熟女カップルは帰り、薄暗い店内に3人だけだ。俺は何をしてるんだろうか。

「おい!クラブ行くぞ!すすきの!」と加藤さんが言い、店の名前は忘れたけどすすきののビルの一室のクラブへ。
真っ白い店内だった気がする。椅子に座ると加藤さんの入れたボトルが3本並べられ、隣に女性が座り、
「私もいただいてもいいー!?」などと言いながらにぎやかである。
この店のママは元男性で、今自分の間の前に座っているチーママの兄だという(本当だろうか)。
加藤さんがチーママに「こいつ!スズキっていうやつ!まったく売れないライター!年収200万しかない。でも書かせたらうまいんだよー!居酒屋のこと書いてんの」と言う。
「えー!ライターさん!じゃあこの辺の美味しいとこ教えてあげないとねー!この辺だといま、”裏すすきの”っていって路地のお店が若い人に人気なのよー」とチーママ。「そうなの?行こうその店」、「うん!行こう行こう!餃子が美味しいのよ。ママも行かない?」みたいな感じで、たぶんその時点で12時過ぎぐらいだったと思う。ちょうど店が終わるところだったのか、チーママともう一人お店の女性と4人で近くのイタリアンへ。路地の階段をあがっていく2階の店。

4000円の赤ワインのボトルを入れ、それを飲みながら話す。かなり酔っていた。
「札幌の美味しい店ってたいてい観光客目当てなのよ。本当に地元の人が行く店は全然違うの」とチーママが言っていたのと、そのチーママに加藤さんがくっついて、そのうち髪の毛にチューしたりし出した感じ、あと北朝鮮のミサイルが嫌で仕方ないっていうチーママが、もういっそ国ごと無くなって欲しい!っていうので、「いや、でもそこに住んでいる普通の人は罪はないから可哀想な気がします」って言ったけど、「とにかく嫌なの!」って言われたことなどをかろうじて覚えている。店のマスターまで加藤さんの金で飲み出し、めちゃくちゃである。

「おい3時か。明日仕事だよ俺。お金ももうねえぞ」という加藤さんにチーママが「もう1軒行こう!ライターちゃんもほら!もう1軒最後!」と言い、タクシーに乗り込む。たぶんすすきののどこかのバーだ。地下の。

店長が木村っていう人だっていうのと、焼酎のロックを飲んだこと、加藤さんに「お前は暗い!話し方もすかしてて嫌い!」と言われたこと、予約したホテルから何度も電話がかかってきて「まだですか?」と言われたことなどをかすかに覚えている。

4時頃ようやく解散。ホテルまで送ってもらう。チーママが「ライターちゃんホテルなかったらうちに泊めてあげたのにー!」と言う。それがよかった。しかしありがたい。

倒れるように眠る。

# by chi-midoro | 2017-09-22 12:57 | 脱力

ブラックニッカ日々 2017-09-19

飛行機は3時25分発。
朝一度起き、二度寝三度寝繰り返す。

関西空港に入ってるラーメンでも昼に食べようと考えがえつつ、
そろそろかと思って家を出て電車に乗り、到着時刻を調べてみる。
すると、思ったよりだいぶ時間がかかることがわかった。
ラーメンなど到底食べられないどころか、搭乗口にいなきゃいけないらしい15時の10分前にやっと関西空港駅に着くようである。
ゾッとして背筋に汗。

まあ、とにかく今は落ち着けと思い、butajiさんが教えてくれた平出隆「猫の客」を読む。
古民家の離れを借りて住んでいる夫婦のもとに隣の家で飼っている子猫が出入りするようになって、
あくまでも自分ちの猫ではないんだけど、自分たちの生活の中の重要な位置を占めるようになっていく。
でも、やっぱり、どこまで可愛がっても自分たちの猫ではない。
その関係性の距離感と、そもそも猫と人間っていう絶対に縮まらない距離感がずっと小説の中に漂っていて寂しくてたまらない。

家にその子猫「チビ」があがってくるようになってきた頃の描写がいい。
「さんざ遊ぶと、チビは部屋にあがって休むようになった。勾玉のかたちになってソファに眠りはじめたとき、家そのものがこの光景を夢に見ていると思われるような、深い喜びがきた。」

ここもいい。近くに住んでいるまた別の猫、ミケがチビをいじめるようになったという話。
「ミケは立派な三毛猫だった。だが、チビだけが自由な出入りを許されていることから、ミケがチビを攻撃する、という循環がはじまったらしい。チビが攻撃されれば、ミケはいっそう警戒される立場になる。するとその面相は妙に険しいものとなる。南隣の家の中では、きっと自分の一番可憐なところを飼い主に見せていることだろうに、と妻はいった。愛されないと思い込んでしまわないように、そこで、庭で見かけるたびに名を呼ぶことにしたようだ。」
この優しさ。

あと、チビが自分の家にあがろうとするところをちょうど出かけようと外に出たタイミングで偶然見かけた時の描写。
「隣家との境の、板塀の隙を防ごうと張られた金網の破れを、するりと飛び抜けるチビを見た。着地するとすぐに背を向けて、荒草の小径を通って離れの外壁を南へと廻った。そこから濡れ縁にあがり、掃出し窓につくられた自分だけが通れる出入口をくぐって、離れの板の間に入ると思われた。
 境界を越える姿を、そんな横合いから見たことはなかった。自分の家に来ようとしている姿を、真後ろから見るのもはじめてだった。
 こんなふうにして、いつも家を抜け出して来てくれていたのだ。と妻と目を見合せた。」
チビの後姿が浮かぶような気がする。

電車が関西空港駅に着く前に読み終えた。
こういう決して派手じゃない心の動きや、少しの人にしか記憶されずに消えていくようなことをつぶさに描けるのは小説しかないんじゃないかと思った。だから他より最高!ということじゃなく、強みというか。

それで、電車がいよいよ関西空港駅に着く頃合いとなった。
電車のドアが開いたら一番に飛び出し、ICカードのお金が足りないから精算機に飛び込んで精算をし、一気に第2ターミナル行きのバスに乗る。そのバスが7分ぐらいかけて第2ターミナルに着く、そんで飛び降りてジェットスターの受付に走ったら15時3分ぐらいには行けるんじゃないかと考えた。前にPeachに乗って沖縄に行こうとした時みたいに、15時ぴったりで受付終了!となっていたら無理だけど、3分ぐらいどうだろう!いけるんじゃないか!?

というか、なんでこんなにギリギリになったんだろうか。
早めに着いてラーメン食うはずだったのに。アホである。
「関西空港までなんとなく1時間」と思っていた根拠のない認識が罠であった。

それで弾丸のように電車から飛び出して、走りまくって無料バスに乗り、そしたらそのバスが思ったよりなかなか出発しなくて、あーやべえ!うおー!とやきもきしつつ、ようやく出発、第2ターミナルが見えてきて、早く着いてくれ!早く!と、プリントアウトした搭乗チケットは手汗で湿っている。

バスが止まりドアが開いて、第2ターミナルのカウンターにダッシュ。ジェットスターは…ない。もう閉まってしまったのか!?目の前にいたPeachの係の人に「ジェットスターの受付はどこですか?」と聞くと、「ジェットスターは第1ターミナルになります。無料バスに乗っていただいて」と言う。

「えー!そうなんですねぇー!」と言いながら全身の力が抜ける。第1ターミナルは、さっきいた、関西空港駅と直結しているターミナルである。つまり、最初からこの第2ターミナルに来る必要はなかったのだ。だが、自分はなぜかジェットスターは第2ターミナルから出発するものだと思い込んでいたのであった。もうだめだ。

とりあえず第2ターミナルを飛び出し、今乗ってきたバスにまた乗る。
どう考えてももう終わり。すでに15時5分。
これが今日の最終便なので、明日に振り替えることになるだろう。
どっちにしてもカウンターに行かなくては。
そう考えながら、バスが第1ターミナルに着くと同時にまた走り、ジェットスターの受付まで自分のすべての力を出し切って全力疾走。
「あの、あの、あのこの便に乗りたいんですけど……もう、だめ、です、よね…」と卒倒しそうになりながらぼーっとした頭で受付の人に言う。
すると受付の人がすぐにどこかにトランシーバーで発信。「〇〇便、搭乗予定のお客様がカウンターにいらしてます。受付可能でしょうか。難しいですか」みたいな間がしばらくあった後、「わかりました至急お連れします」みたいに言って、「私についてお急ぎください!」みたいに、アンさんという、おそらく中国のスタッフの方が、全力で走る。その後ろを全力で追いかける。そして、検査ゲートを通過。そこからまだ遠い搭乗口までさらに走り、なんとか機内へ。

座るなり貧血で意識を失いそうになり、とりあえず目を閉じて椅子によりかかる。なんとか乗れた…。
10分ぐらいの時間が10倍ぐらいスローになった気がする。

飛行機はすぐに動きだし、まもなく離陸。
寝て起きると、すでに着陸が近いようだった。
北海道は天気が良くないらしく、分厚い雲が覆っている。
その雲のモコモコが、アリの巣のすっごいやつみたいな、なんといえばいいのか、自然にしか作れないような造型で背の高いのや低いのや、でこぼこと広がっていて、たまに雲の裂け目から、日差しが海に差しているのも見える。
この美しさ。こんな景色が常に頭上に広がっているなんて、なんということか、と飛行機に乗るたびに思う。
そんで、ついさっきまでは10分の差を追いかけて死ぬほど走っていた俺。
なんだか目まぐるしい。

着陸し、とにかくまずは駅の売店で缶ビールを買う。
札幌行きの電車内で飲む。

18時過ぎに札幌へ到着。そのまま地下鉄で中の島駅まで行き、
札幌国際芸術祭の作品のひとつで、18時からしか見れない梅田哲也の「りんご」というのを見に行く。
蔵の中に展示されている。りんごみたいな形の大きなガラスの水槽に、上に吊るされた飯盒から少しずつ水が落ちてきていて、その水の音が心地よい。りんご型水槽の中にはライトが仕込まれているので、水の揺れが光の揺れになって暗い蔵の中を照らしている。
床に長方形の穴が空いていて、その下は水が流れる地下の空間。入場時には「落ちないようにお気をつけください」とスタッフの人がまず注意する。
その地下空間に突っ込むようにして電球が吊るされていて、地下をぼんやり明るくしているのだが、その地下電球と、りんご型水槽の上にある飯盒はロープでつながっていて、飯盒にある程度の水が溜まると重さで飯盒がスルスルと下がり、もう一方の電球は地下空間から出て、空中に吊るされるという仕組み。30分ぐらい見てないとその全体の動きを確認できない。
さっきまで雨は降ってなかったのだが、作品を見ているうちにものすごい雷鳴と雨の音が外から聞こえ出し、今外に出たら大変だろうと思ってじっと雨宿りがてら作品を見ていた。

19時過ぎに外に出てみると雨は一時的に止んでいるようだった。
中の島から大通駅まで行き、今日急きょ開催されることになった「OPEN GATE」の無料ライブを見にビルの上の「OYOYO」というスペースへ。
「OPEN GATE」は大友良英のパフォーマンスプロジェクトみたいな感じのもので、今回の参加者は「水内義人、米子匡司、SachikoM、さや、植野隆司、大友良英」ということらしかった。

シカクの「天才の祭典」で会った水内さんや、PORTの米子さんの顔をここで見るのは変な感じだ。

とにかく今日は何も食べてなくてお腹が空いており、ライブが始まる前は、もう無理だ、アートよりもメシ!と思いもしたのだが、いざ始まってみると楽しかった。
各自おそらくワンアイデアぐらい想定してあとはその場の成り行きに任せる感じで、水内さんが壁に貼られたでかい紙に「牛乳」と大きく描き、米子さんはポロポロピアノを弾き、植野隆司はサックスのイナたいフレーズを延々繰り返し、同じテニスコーツのさやさんは机の上で逆立ちしようとしてみんなに止められたり、あとお盆の上に投げ銭の小銭を集め、それをジャラジャラ鳴らす、みたいなことが色々あって、大友良英のギターが徐々にそこに入ってきて、植野隆司もそこにギターで混ざって、さやさんが歌いだして、誰かはなんか叩いて音を出し、音楽っぽい感じにじわじわなっていく。聴いていてだんだん気持ちがなんともいえず盛り上がってくる。それを場が共有しているような雰囲気があった。1時間ぐらい経って、「牛乳」を大きく書いた紙に水内さんが一本線を加えて「生乳」にしていて、”1時間経って「牛乳」が「生乳」になったなあ”と、そのままのことをぼーっと思った。

会場を出て雨の中を歩き、ずっと前にチミドロで夕張に行った際に飲みに寄った「金富士」へ。
金富士のことを調べると、本店の方は接客がひどいと評判が悪くて、ビルの地下にある支店の方がいいとある。
美味しい豚串とサワー。串の間の玉ねぎが香り強めでピリッときてすごく美味しい。

自分の後ろの席が座敷になっていて、そこでものすごいけたたましい笑い声を立てている女性客がいて、
どうもケータイでYoutubeかなんかみて笑いあっているらしいのだが、こちらからは位置的に姿が見えない。
その人たちがお会計して出ていった後姿を見たらなんと女性二人だけだった。
6人はいるような感じの声だった。
2ピースバンドなのになんでこんな分厚い音が出せるんだろ!みたいなバンドがいるけど、それに似ていると思った。

すぐ近くの「けやき」で味噌ラーメンを食べたら結構疲れている自分に気づき、予約してあったホテルにチェックインして、コンビニで買った氷結飲みながらいつしか寝ていた。

# by chi-midoro | 2017-09-22 10:53 | 脱力